2016年12月8日木曜日

 前回のセンテンスを少し解説してみよう。

Ἐγώ εἰμι Ἰησοῦς.

大文字、小文字を混ぜて書いているが新約聖書時代では
全て大文字で書かれていた。単語と単語は切り離されることなく
連続して書かれた。

ΕΓΩΕΙΜΙΙΗΣΟΥΣ.

小文字が使われるようになるのは8世紀後半だ。

ΕΓΩ「自分は」は全て強調だ。普通は省く。
ここでアルファベットの練習をしよう。辞書を引く場合、
この順序が頭に入っていないとまごつく。

まず大文字

 ΑΒΓΔΕΖΗΘ
ΙΚΛΜΝΞΟΠ
ΡΣΤΥΦΧΨΩ

Koine Greek Alphabet

 ( )にどの文字が入るかな。

 ΑΒΓΔΕ( )ΗΘ
ΙΚΛΜΝ( )ΟΠ
ΡΣΤΥ( )ΧΨΩ

 正解
 ΑΒΓΔΕ(Ζ)ΗΘ
ΙΚΛΜΝ(Ξ)ΟΠ
ΡΣΤΥ(Φ)ΧΨΩ

もう少し続けてみよう。
 ΑΒΓΔΕΖΗ( )
ΙΚΛΜΝΞ( )Π
( )ΣΤΥΦ( )ΨΩ

 正解
 ΑΒΓΔΕΖΗ(Θ)
ΙΚΛΜΝΞ(Ο)Π
(Ρ)ΣΤΥΦΧΨΩ


ΕΓΩ ΕΙΜΙ ΙΗΣΟΥΣ.

Ἐγώ εἰμι Ἰησοῦς.

I am Jesus.

英語だとギリシャ語とぴったり一致する。さすが同じ語族だ。
日本語には"be"動詞がない。

 中国語は""が"be"動詞だ。

 我是耶稣

 "be"動詞は人称、数でフォームが異なる。すなわち主格を全部書き出すと
6つある。

単数複数
1 1
22
33

このうち1人称単数主格を学んだわけだ。
主格は通常省くことは既に述べたが、この使徒行伝のパウロとの問答では
パウロが「あなたは誰ですか」と尋ねたのに対して
「私はお前が迫害している当のイエス自身だ」と答えている。
主格を使うのにうってつけのシーンだ。

現代ギリシャ語では:
Εγώ είμαι Ιησούς.
現代ギリシャ語の発音は文字通りではない。
エゴーイーメイースース


 マルコ伝朗読

創世記ギリシャ語口語訳付きを出版した:
左側にギリシャ語、右側に口語訳を並べた。口語訳にはところどころ
意味不明な箇所があったので英訳を参考につけるなどした。

ギリシャ語はセプチュアギント、口語訳はヘブライ語聖書からの翻訳なので
あちこちで一致しないところが出て来るのは仕方がない。

どちらが古いかというと問題なく現存するセブチュアギント写本(紀元4世紀)が古い。

しかも新約聖書時代に初期キリスト教会で使われていたのはセプチュアギントだ。 
新約聖書で引用される旧約はセプチュアギントがほとんどなのに現在のクリスチャンが
持っている旧約はユダヤ教聖書からの翻訳というわけの分からんことになっている
のが現状だ。

ユダヤ教はイエスを否定しているので現在のヘブライ語聖書はそのあたりを
ユダヤ教に都合のいいように書き換えていると主張している学者もある。

現存するユダヤ教聖書の完全な写本はLeningrad Codexで1008年とされる。
実はこれよりも古いAleppo Codex (10世紀)があるが1947年に反ユダヤ運動
のとばっちりを受けて襲撃、放火されたためその大半が紛失した(シリヤ)。

Kindle本編集出版

ODONTA PRESS


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